技術開発
近年、生物多様性保全のために、現場において新たな対応が求められています。全国各地における外来種の侵入・定着や、ニホンジカなどの鳥獣の急速な分布拡大といった問題には、従来の方法で対応しきれない場合があります。
当センターでは、こうした喫緊の課題に先駆的な技術を開発し、業務を通じて問題解決に取り組んでいます。例えば、希少種が分布する島嶼での外来種駆除、高山・亜高山帯に侵出したニホンジカへの対策、狩猟者が減少するなかでの捕獲効率の向上など、先例がない状況のもとで、対象とする生物や地域の特性に応じて創意工夫しながら、新たな技術を開発して成果をあげています。
ディープラーニングを用いた画像からの哺乳類種の自動検出・判別
AIによる解析例
自動撮影カメラによる哺乳類の調査が日本各地で行われていますが、から打ち画像(=動物等が写っていない画像)が多く、その画像データの仕分けや種判別には多くの時間がかかります。
そこで、ディープラーニングを用いて、哺乳類種の自動検出・判別を行うツールを構築し、調査結果の迅速な共有と意思決定に貢献しています。
またより幅広い哺乳類種の分布情報の収集に貢献すべく、ツールの改善と応用方法の検討などを進めています。
自動通報システム
自動通報システム
わな(はこわなやくくりわな等)の毎日の見回りの労力を軽減するとともに、それに伴う経費を削減することを目的に自動通報システムを開発しました。
自動通報システムを導入した捕獲作業の流れ
くくりわな
開発したくくりわな
捕獲効率が高く、設置作業が容易で、奥山までの運搬を容易とする軽量なくくりわなを、T&O罠製作と提携して開発しました。
イノシシ、キョン、マングース探索犬
イノシシ・キョン探索犬
イノシシによる農作物への被害を軽減させるためには加害個体の特定が重要です。また、特定外来生物であるキョンやマングースを根絶するためには、薮等に潜む対象種を探索する技術が必要です。警察犬や災害救助犬のように使役犬として訓練され、残臭を追跡する犬を使うことで高い確率で個体を特定し、効率的に捕獲を行っています。
グリーンアノールトラップ
アノール粘着トラップ
グリーンアノールを駆除するため、特殊な素材を使用した侵入防止柵や捕獲効率の高いトラップ(捕獲器)の開発に取り組んできました。
当センターが開発した「アノール粘着トラップ」は小笠原諸島や沖縄で使用され、成果をあげています。
マングーストラップ
工夫を凝らしたマングースト
ラップ
特定外来生物であるフイリマングースを効果的に捕獲するため、点検の労力がおさえられ、かつ他の動物が捕獲されにくい新しいわなの開発や、精度の高いモニタリング調査手法を考案しています。